確立変数の変換

本テキストの本文の流れを察すると明らかにわかることかもしれないが、式だけみているとわからないのが確立変数である。

これまででてきた変数で確率変数として扱われているのは、需要活発度aと労働供給の逼迫度を表すbである。

確立変数xに対する主観的予想値を\( \hat E (x)\)で表す。主観的というのは数学的な用語の意味ではなく、確立変数xを主観的に予測するという意味のようである。計算する上では、確立変数xに対する期待値を計算しているのとなんらかわりがない。主観的というのは、xの確率分布関数が主観的に予測されたということである。通常の数学で期待値は\(E()\)の記号を使うが、主観的予想値という用語強調するためにEの上に山記号^をつけている。

ある確率変数xから別の確立変数をつくることができる。たとえば、u,vを定数としたとき、ux+vもまた確立変数となるため、\( \hat E(ux+v) \)が定義でき、このとき
\( \hat E(ux+v) = u\hat E(x) +v\)の関係がある。

テキストでは確立変数aからaの予想誤差という新たな確率変数を定義する。これの定義に主観的予想値をつかっているので混乱しないように注意すべきである。

具体的に\(a\)の予想誤差を表す確率変数は、\(\frac{a}{\hat E (a)}-1 \)である。この確率変数の予想的主観値は、
\( \hat E (\frac{a}{\hat E (a)}-1)  \)と表されることになるが、これは先程の主観的予測値の公式を使って計算すると\( \hat E (\frac{a}{\hat E (a)}-1) = \frac {\hat E (a)}{\hat E (a)} -1=0 \)となる。つまり当然のことながら、主観的予想値の予想誤差は0である。

最適化賃金を計算する上では、活発度\(a\)の確率分布関数でなく、その予想誤差の確率分布関数が与えられた上での最適化賃金の計算をする。2つの確率分布関数(活発度aの確率分布関数と活発度aの予想誤差の確率分布関数)の関係を把握しておかないと混乱する。

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