正常製品需給比率:最適化価格を決定する定数\(g^*\)

ここで、最適化価格を決定する定数\(  g^*\)を定義する。

\(  g^*\)はある方程式を満たす解で正常製品需給比率と呼ばれるある。

最適化価格は、\( g^*=\hat E(x/q) \)を満たす\( x=a p^{-η} \)によって決定される。

\(  g^*\)は、\( g \)に関する方程式

$$ 1-A(\frac{1}{g}-1) -(η-1)g \int_{-1}^{1/g-1}{ \,  (1+ξ) d A(ξ)}=0 $$
を満たす解となっている(数式は修正されている)。ここで\( g \)は、\(  \hat E (x/q) = \hat E (a p^{-η}/q) \)によって定義される変数である。

ここで、確率変数となっているのは\(a\)であるので、\( g= \hat E(a) p^{-η} /q \)である。つまり、\(  g \)は\(  p \)に依存する変数(関数)といえる。

\(A(ξ)\)が定義域-1≦ξ≦1の範囲で一様に1/2の密度分布を持つ場合、正常需給比率\( g^* \)は\( (η+1)/4 \)である。この計算について、理解に苦しむところが多いので、これを実際に計算して求めることを当面の目標とする。この例題はよく使うことになるので、例題((a)-例1)と名付けておく。

この例題((a)-例1)について考える前に、関数Aをもっとシンプルな例から考える。この関数Aは、確率変数aが、100%の確率で\( \hat a \)をとる、つまり\( \hat a \)値しか取らない場合を考える。このとき、確率分布関数は、\(ξ \ge 0\)のときに1、それ以外では0になる関数となる。この場合、\( g= \hat a p^{-η}/q \)である。

\( g \gt 1 \)のときは \( 1/g -1 \lt 0 \)であるから \( A( 1/g -1 )= 0 \)、
\( g = 1 \)のときは \( 1/g -1  = 0 \)であるから\( A( 1/g -1 )= 1 \)、
\( g \lt 1 \)のときは \( 1/g -1 \gt 0 \)であるから\( A( 1/g -1 )= 1 \)。

分布関数が微分できない(不連続な点がある)ので積分が定義できないところもあるが、適宜都合よく解釈して\( \hat E (py) \)を計算すると、

$$ \hat E (py) = pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ)  +1-A(1/g-1)   \right] $$

\( g \lt 1 \)のとき、
$$pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ)  +1-A(1/g-1)   \right] $$
$$= pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ) +(1-1)   \right] $$
$$= pq \left[  \int_{-1}^{0} g (1+ξ) dA(ξ) + g  + \int_{0}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ)    \right] $$
$$= pq \left[   g     \right] =pqg$$

\( g = 1 \)のとき、
$$pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ)  +1-A(1/g-1)   \right] $$
$$= pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ) +(1-1)   \right] $$
$$= pq \left[  \int_{-1}^{0} g (1+ξ) dA(ξ) + g      \right] $$
$$= pq \left[   g     \right] =pqg =pq$$

\( g \gt 1 \)のとき、
$$pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ)  +1-A(1/g-1)   \right] $$
$$= pq \left[  \int_{-1}^{1/g-1} g (1+ξ) dA(ξ) +1-0   \right] $$
$$= pq \left[   1     \right] =pq$$

まとめると、\(g \le 1 \)のとき、\( pqg \)、\(g \gt 1 \)のとき、\( pq \)となる。

これは数学付録にかかれている結果と異なるので、なにか勘違いがあるのだとと思う。
数学付録での主張は、おそらく、このシンプルな\( ξ=0 \)の1点しか取り柄ない分布関数\(  A(ξ) \)のもとでは、正常製品需給比率\(g^* = 1 \)であって、最適価格は\(1 =\hat a p^{-η}/ q \)すなわち、方程式\(q =\hat a p^{-η} \)を満たすpが最適価格\(  p^*\)となるはずである。

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