説明なく使われる記号は、最適化価格の計算(例題1)|超シンプルな例で定義したものである。
例題1では、aが1つの値しかとらない例であったが、こんどは2つの値を取る場合で考える。2つなので離散的な確率分布となる。変更になる部分は、確率分布関数A(ξ)である。例題2では以下のように定義する。
例題2
$$A(ξ) = \left\{
\begin{array}{ll}
0 & (ξ \lt -1/5) \\
4/5 & (-1/5 \le ξ \lt 4/5) \\
1 & (4/5 \le ξ)
\end{array}
\right.$$
例題1と同じく、このA(ξ)関数も微分できない点があるが、
$$ {dA(ξ)}= \left\{
\begin{array}{ll}
0 & (ξ \ne -1/5, 4/5 ) \\
4/5 & (ξ = -1/5) \\
1/5 & ( ξ=4/5) \end{array}
\right.$$と考える。
\( \hat a = \hat E(a) \),\( g=\hat E(x/q)=p^{-η} \hat a / q \)とおく。\(p^{-\eta} a \le q \Leftrightarrow ξ \le 1/g -1\)を使うと、
\(ξ \le 1/g-1 \Rightarrow p^{-\eta} a =x \le q \Rightarrow \hat E (\min \{ pq,px\} )=\hat E (px) =\hat a p^{1-\eta} \)
\( 1/g-1 \lt ξ \Rightarrow q \lt p^{-\eta} a =x \Rightarrow \hat E (\min \{ pq,px\} )=\hat E (pq) =pq \)
\(\hat E (\min \{ pq,px\} )\)を求めるために、\( \hat E (px:ξ \le 1/g-1) \)と\( \hat E (pq: 1/g-1 \lt ξ) \),を求める。確率変数をaからξに変更しているので、ここでの\( \hat E() \)はξの確率分布関数A(ξ)を使用することになる。
以下、\(ξ_1=-1/5\),\(ξ_2=4/5\)とおくと、\( ξ_1 \lt ξ_2\)でこれらが\( 1/g-1\)より大きいか小さいかわかると計算できるようになる。
\(1/g-1 \le ξ_1 \lt ξ_2\)の場合
\( 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \le ξ_1 \) を解くと\( p^η \le \hat a (ξ_1+1) /q \)
\( 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \lt ξ_2 \) を解くと\( p^η \lt \hat a (ξ_2+1) /q \)
したがって、
\( p \le \left( \frac {\hat a (ξ_1+1)}{q} \right) ^{1/η} \)の場合
\( \hat E (\min \{ pq,px\} ) \\ = pq \ dA(ξ_1) +pq \ dA(ξ_2) =pq \)
この関数は単調増加であるから、最適価格は
\(p^*=\left(\frac {\hat a (ξ_1+1)}{q} \right) ^{1/η}\)
\( ξ_1 \lt 1/g-1 \le ξ_2\)の場合
\( ξ_1 \lt 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \) を解くと\( \hat a (ξ_1+1) /q \lt p^η\)
\( 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \le ξ_2 \) を解くと\( p^η \le \hat a (ξ_2+1) /q \)
したがって、\( (\frac {\hat a (ξ_1+1)}{q}) ^{1/η} \lt p \le (\frac {\hat a (ξ_2+1)}{q}) ^{1/η} \)の場合
\( \hat E (\min \{ pq,px\} ) \\ = p x \ dA(ξ_1) +p q \ dA(ξ_2) = \frac { p q + p^{1-\eta} 4\hat a }{5} \)
最適価格を求めるために、上記関数をpで編微分しゼロになる価格をもとめる。
\( q/5 + \hat a 4( 1-η) p^{-η}/5 =0 \)を解くと
\( p^* = \left( \frac {4\hat a (η-1) } {q} \right)^{1/η}\) 、ただし\( (\frac {\hat a (ξ_1+1)}{q}) ^{1/η} \lt p^* \le (\frac {\hat a (ξ_2+1)}{q}) ^{1/η} \)を満たしている場合
\( ξ_1 \lt ξ_2 \lt 1/g-1 \)の場合
\( ξ_1 \lt 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \) を解くと\( \hat a (ξ_1+1) /q \lt p^η\)
\( ξ_2 \lt 1/g-1=p^η \hat a/q -1 \) を解くと\( \hat a (ξ_2+1) /q \lt p^η\)
したがって、
\( (\frac {\hat a (ξ_2+1)}{q}) ^{1/η} \lt p\)の場合
\( \hat E (\min \{ pq,px\} ) = px \ dA(ξ_1)+ px \ dA(ξ_2) =px=p^{1-\eta} \hat a \)
この関数は(η>1の前提より)単調減少であるから、最適価格は
\(p^*=(\frac {\hat a (ξ_2+1)}{q}) ^{1/η}\)
\( \hat E (\min \{ pq,px\} ) \)の最適価格結論
それぞれ3つの区間にわけて最適価格を求めたが、それらをグラフをかいてつなげて全区間のpにおける最適価格を求める。
\( p^* = \left( \frac {\hat a (η-1) } {4q} \right)^{1/η}\)
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