それでは、いよいよ佳境というか面倒な労働需要の予測分布にもとづく最適賃金を計算してみる。
変数の意味で要所となるものを記載しておく。
- \( l \) : t期の労働需要。\( l = w^{ε}/b \)、ただし、\( 0 \lt ε \)とする。
- \( f \) : \( \hat E (h/l) \)で定義する。\( f = h \hat E (b) w^{-ε} \)である。
- \( \phi^{’’}=\int_{-1}^{1/g^*-1} g^* (1+ξ) dA(ξ) +1-A(1/g^*-1) \)
- \( \phi^{’} = \phi^{’’} \hat E \left\{ \left[\frac{\hat E(a_τ:δ_τ)}{\hat E(a_τ)}\right]^{1/η} \right\} \)
- \( \phi = \left[ \frac{γ(η-1) \phi^{‘}}{η} \right]^{η} \)
- \( h = \left\{ \phi j^{(η-1)} w^{-η} \left[ \frac{\hat E (a_τ)}{g^*}\right] \right\}^{1/(η-γ(η-1))}\)
\( = \left\{ \left[ \frac{γ(η-1) \phi^{‘}}{η} \right]^{η} j^{(η-1)} w^{-η} \left[ \frac{\hat E (a_τ)}{g^*}\right] \right\}^{1/(η-γ(η-1))}\) - \(n = \min(h,l) \) 労働雇用。
- \( \hat E (p_τy_τ-wn) \):t期に予想した(t+τ)期の予想利潤
\( =\phi^{’} \left[\frac{\hat E(a_τ)}{g^*}\right] ^{1/η} (j n^γ) ^{(η-1)/η} -w n \)
ここでの目標は、上記の式の元で、予想利潤を最大にする\( w \)を求めることである。考え方としては、\(h \lt l\)の場合と、\(h \ge l\)の場合にわけて予測利潤を計算する。
\( h^{(η-γ(η-1))}
= \left[ \frac{γ(η-1) \phi^{’}}{η} \right]^{η} j^{(η-1)} w^{-η} \left[ \frac{\hat E (a_τ)}{g^*}\right]\)
\( h^{(η-γ(η-1))/η}
= \phi^{’} \left[ \frac{γ(η-1) }{η} \right] j^{(η-1)/η} w^{-1} \left[ \frac{\hat E (a_τ)}{g^*}\right]^{1/η}\)
\( \phi^{’} \left[ \frac{\hat E (a_τ)}{g^*}\right]^{1/η} = \left[ \frac{η}{γ(η-1) } \right] j^{-(η-1)/η} w h^{(η-γ(η-1))/η} \)
確率分布関数は、(労働需要ではなく)労働需要の予想誤差で与えられているから確率変数を変換する。
\( h \lt l \)という条件は、\( h = f w^{ε} / \hat E (b) \)、\( l = w^{ε}/b \)より、
\( f w^{ε} / \hat E (b) \lt w^{ε}/b \)で
\( b / \hat E (b) -1 \lt 1/f -1\)となるから、\(1/f -1\)で分割して計算する。
まずは、予測利潤を\(w\)の関数として表します。
\( \hat E \left\{ \phi^{’} \left[\frac{\hat E(a_τ)}{g^*}\right] ^{1/η} (j n^γ) ^{(η-1)/η} -w n \right\} \)
\( = \hat E \left\{ \left[ \frac{η}{γ(η-1) } \right] j^{-(η-1)/η} w h^{(η-γ(η-1))/η} (j n^γ) ^{(η-1)/η} -w n \right\} \)
\( = \hat E \left\{ \left[ \frac{η}{γ(η-1) } \right] w h \, h^{(-γ(η-1))/η} n^{γ(η-1)/η} -w n \right\} \)
\( = \hat E \left\{ \left[ \frac{η}{γ(η-1) } \right] w h \, (\frac{n}{h} )^{γ(η-1)/η} -w h \frac{n}{h} \right\} \)
\( = w h \hat E \left\{ \left[ \frac{η}{γ(η-1) } \right] \left( \frac{n}{h} \right)^{γ(η-1)/η} – \frac{n}{h} \right\} \)
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テキスト数学付録「第1章への数学付録(c)」(p281)では、途中カッコの一をつけ間違えたと思われる箇所あり。
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