需給法則の理論的な問題点
需給法則は予測した法則であって理論的な裏付けがない。ワルラスの市場で論理的な裏付けをしようとしたが、実はそれは、隠れた形で中央集権的な超越者(ワルラスの市場せり人)を導入して「みえざる手」としたものであった。
ワルラスの市場せり人
ワルラス(新古典派経済学者)は価格決定モデルを提示した。これを「ワルラスの市場」と呼ぶ。
- 「全世界」を「社会的富の売買が行われる各種の個別市場によって形成される一般的市場」とみなす。
- 一般的市場の売買は、市場せり人を介して行われる。
- 一般的市場は、競争の点からみて最もよく組織された市場とする。
- すべての売り手と買い手は、自分で決めた価格のもとで需要と供給をせり人に報告する。
- せり人は、需要と供給の総量を計算する。需給の間に食い違いがあれば取引せず、再度価格(需要と供給量も)を設定しなおす。
- すべての商品の需給が一致したとき取引が成立する。ここで成立したそれぞれの商品の価格を均衡価格と呼ぶ。
新古典派経済学の基本原理
個々の売り手や買い手の自己利益のみに導かれた「分離的」な意志決定が、実は「みえざる手」によって導かれているという原則。
この原則を説明しようとすると、ワルラスの市場のように、すべての取引を「集中化」する市場せり人が必要。
この市場せり人は、中央主権的超越者であって、「みえざる手」を実体化する。
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